狭心症・心筋梗塞
概要
急に心臓の発作をおこす病気は、狭心症と心筋梗塞がほとんどです。心臓の筋肉を養っている冠状動脈が狭くなって、血液の循環に異常をおこすためです。
心臓発作をおこすと、生命の危険を招くことが多いので、患者を心理的に動揺させないように、落ち着いて的確な処置をすることが大切です。
原因と症状
生まれてから休むことなく伸縮を繰り返している心臓へは心臓表面の冠動脈を通った血液が酸素と栄養を送り届けています。
その冠動脈の動脈硬化が進行すると血管が細くなって血液の循環が悪くなります。
その結果、心筋細胞に充分な酸素や栄養が届かなくなって心臓に負担が生じ、胸の圧迫感や痛みなど狭心症の症状が出るようになります。
狭心症は、突然に左前胸部に圧迫感や、締めつけられるような痛みがあり、この痛みはしばしば左肩から左手の内側などの方向へ散っていくのが感じられます。
同時に、重症の場合は顔が青くなり、脈が速くなります。不安感、恐怖感はありますが、強いショック症状はありません。
痛みは数秒か数分程度で消えてゆきますが、20分間以上続くと心筋梗塞の可能性も出てきます。
心筋梗塞は、多くは突然、前胸部に胸が締めつけられるような、裂かれるような激しい痛みの発作に襲われます。
重症の場合は、顔面は蒼白になり、冷や汗が出てきます。血圧は下がり、脈は弱って不整脈をおこすようになります。
狭心症よりも強いショックがあり、普通、発作が30分以上も続くことが特徴です。
狭心症・心筋梗塞の漢方薬治療
治療は、胸を塞いでいる「痰濁」(飲食の不摂生等によって溜まった病理物質のこと)や「瘀血」(血行障害のこと)を取り除く方法で行います。
心臓の虚血状態のことを「心血瘀阻」といい、瘀血を取り除く事を「活血化瘀」といいます。
現代になって中国政府が漢方と西洋医学を結合して国家プロジェクトで開発した虚血性心疾患の特効薬に「冠心II号方」という漢方薬があります。
冠心II号方には川芎、丹参、赤芍、紅花、降香5種類の生薬が配合されています。
いずれも活血化瘀を促す漢方生薬で、丹参2に対してほかの生薬はそれぞれ1の割合で処方され5種類の生薬が一体となって血行障害を取り除きます。
冠心II号方は日本で入手出来ませんが、それを基にして作った冠元顆粒という顆粒状の生薬製剤が「中年以降、または高血圧傾向がある方の頭痛、頭重、肩こり、めまい、動悸に。」の効能で厚生労働省に認可されて市販されています。
狭心症・心筋梗塞だけではなく高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満、脳卒中の家族歴など、動脈硬化の危険因子をお持ちの方にはぜひお勧めしたい漢方製剤です。
漢方薬局からのアドバイス
狭心症や心筋梗塞は生命にかかわる病気ですから、西洋医学の治療も併用した総合的な対策が必要です。
「病院でもらった狭心症の治療薬を服用していても発作を繰り返してしまう。」と訴える方に漢方薬を併用していただいて、発作が全く起きなくなった例などはよく経験します。
比較的作用の強いワーファリンやチクロビジンと併用しても飲み合わせはありませんので、ぜひご相談下さい。
狭心症・心筋梗塞を予防するには、動脈硬化を促進する高血圧や高脂血症、糖尿、肥満をコントロールすることが大切です。
薬の服用だけに頼らずに過労や過度のストレスを避け、適度な運動と十分な睡眠を取って食物には気を配り、禁煙するなど、日頃からの養生も心がけましょう。