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不整脈


 概要・症状

●概要
  平常時に脈が速く打ったり遅くなったり、あるいは途中で飛んだり(結滞)するなど、心臓の規則的な収縮リズムが乱れたものを不整脈といいます。
 不整脈は割合に多くみられる現象です。


●症状
 不整脈の種類として、次のようなものがあります。

(1)期外収縮
 脈は洞結節という、右心房の上部にある部分のリズミカルな電気刺激によって、心臓が収縮して発生します。
 ところが、洞結節以外の心臓の他の部分(心房、心室、田原結節など)が、勝手に刺激を発して、正常なリズムの間に脈を打たせる場合があります。
 これを期外収縮といって、不整脈の約三分の一を占めています。

 自覚症状は、胸がドキンとする、胸やのどがぐっとつまる感じ、心臓がつまずいて動いたような感じです。ゴホンと空咳をする人もいます。

 ほとんどが何も心配はいらず、放置しておいてだいじょうぶです。
 ただ高齢者の場合には冠状動脈硬化によって生じることが多いので、動脈硬化症の治療を心がけます。
 また、急性心筋梗塞の初期、心筋炎でもおこります。

 健康者でも、不眠、夜更かし、過労、精神的ストレス、過度の飲酒、喫煙、コーヒーやチョコレートなどカフェインの多い食品の摂取、血圧の突然の変化などでおこる場合があります。
 一般に心臓病のない人では、脈拍が速くなると期外収縮は出てこないので、足踏みなどの運動で必ず消えます。平静からの運動も心がけましょう。

(2)心房細動・心房粗動
 期外収縮についで多い不整脈で、絶対性不整脈ともいいます。単にリズムがでたらめ(不整)なばかりではなく、一つ一つが大小不ぞろいです。
 心臓が送り出す血液量が一回ごとに違うわけです。

 多くは他の病気で誘発され、その病気が悪化したときに出やすいものです。したがって、もとの病気を治すことが治療につながりますが、この病気があると血液が凝固し、血栓をつくりやすくなりますので、高齢者はとくに注意が必要です。

(3)発作性心臓頻拍
 全く原因がわからないで発生する場合もあります。
 ストレスやコーヒー、タバコなどの飲みすぎが誘因になるようです。
 心拍数が多いために、動悸が強く、ときには狭心痛、めまいなどを伴います。心臓病がある場合にはチアノーゼをおこすこともありますので、早急に止める必要があります。
 頸動脈や眼球を圧迫すると止まることが多く、また、背中をたたいてもらう、前かがみにしゃがむ、冷水を飲むなども有効です。

 そのほかに、心臓障害のある人におこりやすい洞不全症候群や房室ブロックなどで、不整脈をおこすこともあります。

 不整脈・動悸の漢方薬  

 漢方では動悸のことを「心悸」と呼んでいます。
 不整脈という語句の使用は無く、脈は脈診の中で約30の脈象に分類しています。
 その中で不規則に飛ぶ脈を「結脈」、規則正しく飛ぶ脈を「代脈」と呼びます。
 その二つを合わせて、飛んだり抜けたりする脈のことを「結代脈」と呼んでいますが、これらは西洋医学の不整脈に分類されている徐脈や期外収縮に当てはまります。


 脈の異常は血脈を主る「心」の病症としてとらえることが多く、それぞれの体質に合った処方を選んで治療します。
 ( )内には良く見られる病名を参考に取り上げました。


「心陽虚型」
 動悸、元気がない、疲れやすい、冷えに弱い、息切れ、胸苦しい、めまい感、不安感、汗をかきやすい、舌の色が淡(薄)い、神経過敏傾向・・・桂枝加竜骨牡蛎湯

「心気陰両虚型」
 動悸、結代脈、息切れ、疲労感、寝汗、口の渇き、微熱感、舌の色やや紅、甲状腺機能亢進症・・・炙甘草湯、生脈散、麦味参顆粒

「心腎陰虚型」
 動悸、結代脈、胸苦しい、微熱感、手足のほてり、寝つきが悪い、口の渇き、のぼせ、寝汗、舌質紅 甲状腺機能亢進症、自律神経失調症・・・天王補心丹

「心脾両虚型」
 動悸、疲れやすい、倦怠感、食欲不振、不安感、眠りが浅い、些細な事が気になる、軟便・・・帰脾湯、加味帰脾湯

「心血虚型」
 動悸、貧血傾向、倦怠感、顔色が白く、冷え性、健忘、めまい、よく目が覚める・・・ 婦宝当帰膠、酸棗仁湯

「臓躁型」
 心悸亢進、腹部動脈の拍動亢進…苓桂甘棗湯、甘麦大棗湯

「痰熱型」
 動悸、口が苦い、口が粘る、イライラ、胸苦しい、眠りが浅い…温胆湯

「寒飲型」
 動悸、心悸亢進、胃に水が滞る、食欲不振、めまい、舌苔白、胖大舌(神経症、虚弱体質)・・・苓桂朮甘湯

「心血虚型」動悸
 動悸、いらいら、のぼせ、不眠、胸脇部が張って苦しい(ヒステリー、更年期障害、神経症)・・・柴胡加竜骨牡蛎湯

「血脈瘀阻型」
 動悸、心臓部の刺痛、口唇・舌が青紫色(狭心症、動脈硬化症)・・・冠元顆粒、血府逐瘀湯、桂枝茯苓丸、田七人参

 漢方薬局からのアドバイス 

 心臓疾患、貧血、甲状腺機能亢進症、更年期障害、自律神経失調症、神経症、ストレス、過労、高血圧、動脈硬化症など、動悸や不整脈の様々な原因の中には西洋医学では不明であったり、解明できても本人に合う薬が無かったりして不整脈を繰り返してしまい、満足できる状態を得られてない方がたくさんいらっしゃいます。
 また、病院で出る抗不整脈剤の使用で、既存の不整脈が悪化したり新たに不整脈が発生したりする副作用が出るケースもありますから注意が必要です。


 不整脈でいろいろな病院を訪ねて薬を服用しても治まらなかった方が、漢方薬を服用して比較的簡単に治ってしまうことをしばしば経験します。
 動悸や不整脈を起こしている原因がどこにあるのかを漢方と西洋医学の両面から考え対処していくのが最も合理的な方法だと思います。


 動悸や不整脈に使う漢方薬や薬草には、病院の薬との飲み合わせになるようなものはまずありませんから、お気軽に相談してください。